「どうして頭が痛くなるんでしょう?」
子どもの頭痛についてご相談を受けると、親御さんからよく聞かれる言葉です。
もちろん、そう思いますよね。
何か原因があるなら知りたい。
できることなら、それを取り除いてあげたい。
姿勢が悪いから?
スマホを見すぎているから?
寝不足だから?
学校で何かあったから?
ストレスなの?
いろいろ考えてしまうと思います。
でも、子どもの頭痛は、ひとつの原因だけで説明できないことがあります。
身体の状態。
睡眠や生活リズム。
学校や部活動。
人間関係。
緊張や疲れ。
そうしたいくつもの要素が重なりながら、その子の頭痛として現れていることがあります。
だから、
「何が原因なんだろう?」とひとつに絞ることより、
「この子の今の状態はどうなんだろう」と広く見ること
を大切にしています。
まず知っておきたいこと ― 頭痛にもいろいろあります
ひとことで「頭痛」と言っても、すべてが同じではありません。
子どもにも、片頭痛や緊張型頭痛などの一次性頭痛があります。
一方で、感染症や外傷、その他の病気など、別の原因を背景に起こる頭痛もあります。
そのため、
すべての頭痛を「姿勢のせい」「ストレスのせい」と決めつけることはできません。
いつもと明らかに違う強い頭痛や、急に起こった激しい頭痛、ほかの症状を伴う場合などは、整体やセルフケアより先に医療機関での評価が必要です。
このあたりは、次回の記事で詳しくお伝えします。
そのうえで、
病院では大きな異常が見つからなかった。
でも、頭痛を繰り返している。
そんな場合には、日常の中にあるいくつかの背景を見ていくことが役立つことがあります。
睡眠と生活リズム
まず見ておきたいのが、睡眠です。
子どもにとって睡眠は、身体を休めるだけでなく、成長や回復のためにも大切な時間です。
でも実際には、
夜遅くまでスマホを見ている。
ゲームをしている。
宿題や塾で寝る時間が遅くなる。
朝なかなか起きられない。
平日と休日で生活時間が大きく違う。
そんなことも少なくありません。
睡眠不足や生活リズムの乱れは、頭痛が起こりやすい状態に関係することがあります。
そして、ここで少し気にしておきたいのが、寝る前の画面時間です。
目は脳ととても密接につながっている器官です。
夜遅くまでスマホやタブレット、ゲームなどの画面を見続けていると、脳がまだ活動する時間だと感じやすくなり、気持ちも身体も休むモードへ切り替わりにくくなることがあります。
なので、
できれば寝る前1時間くらいは、画面から離れる時間をつくる
ことをおすすめしています。
スマホが悪い、ゲームが悪い、ということではありません。
大切なのは、眠る前に少しだけ刺激を減らして、身体と脳が「これから休む時間なんだ」と切り替わる時間をつくることです。
ただし、
「寝不足だから頭痛」
「スマホを見ているから頭痛」
と単純に決めつけるのも違います。
頭痛があるから眠れないこともありますし、疲れているから生活リズムが崩れることもあります。
だからこそ、
睡眠だけを原因として見るのではなく、その子の毎日の中で睡眠と頭痛がどうつながっているのかを見る
ことが大切です。
姿勢・首・身体への負担
スマホやタブレット、ゲーム、勉強。
子どもたちは、思っている以上に長い時間、同じ姿勢で過ごしています。
下を向く。
前かがみになる。
画面に集中して、首をほとんど動かさない。
こうした時間が続けば、首や肩まわりに負担がかかることがあります。
さらに、画面を長く見続けることで、目も疲れます。
近い距離を見続ける。
まばたきが少なくなる。
顔や目の周りに力が入る。
そして、目が疲れてくると、姿勢が崩れたり、首や肩まで緊張したりすることもあります。
ここでも大切なのは、
「姿勢が悪いから頭痛」
「首が原因だから頭痛」
「スマホを見すぎたから頭痛」
と、ひとつに決めないことです。
同じ「画面を見る」という行動でも、
睡眠への影響。
目の疲れ。
姿勢。
首や肩への負担。
いくつもの背景につながっています。
だから、
ひとつの行動を、ひとつの原因として見るのではなく、その行動が身体や生活全体にどう影響しているかを見る。
そんな視点が大切だと思っています。
姿勢や首と頭痛については、第4回で詳しく。
そして、寝る前の過ごし方や画面との付き合い方など、家庭でできるセルフケアについては、第6回でもう少し具体的にお伝えしていきます。
食事・水分・日々のリズム
子どもの生活では、
朝ごはんを食べない。
水分をあまりとらない。
食事の間隔が空く。
部活でたくさん動いたあとも水分が少ない。
そんなこともあります。
空腹や脱水、疲労などは、頭痛のきっかけになることがあります。
だからといって、
「朝食を食べれば治る」
「水を飲めば大丈夫」
ということではありません。
大切なのは、
頭痛が出た日の生活を振り返る材料として見ること。
「今日は何時に起きた?」
「朝ごはん食べた?」
「水分とれていた?」
「部活はきつくなかった?」
そんな小さなことの積み重ねから、パターンが見えてくることがあります。
学校・勉強・部活動
子どもにとって学校は、とても大きな環境です。
授業。
宿題。
テスト。
人の多さ。
音や光。
長時間座ること。
体育や部活動。
時間に追われること。
身体にも心にも、いろいろな刺激があります。
でも、
「学校に行きたくないから頭痛なんでしょう」
と決めつけてしまうと、大事なものを見落とすことがあります。
学校生活の中で身体が疲れているのかもしれない。
人間関係で気を張っているのかもしれない。
部活動で疲労がたまっているのかもしれない。
朝の準備や登校時間そのものが負担になっていることもあります。
学校という環境で、その子の身体がどう反応しているのか。
そこを見ることが大切です。
このテーマは、第7回でさらに詳しく取り上げます。
人間関係や心理的な緊張
「ストレスで頭が痛いんですか?」
これもよく聞かれます。
確かに、心理的な緊張が身体に影響することはあります。
緊張すると呼吸が浅くなる。
肩に力が入る。
歯を食いしばる。
身体が休まらない。
そんな反応が続くこともあります。
でも、
「ストレスが原因」
と一言で片づけてしまうと、子どもにとっては、
「気持ちの問題なんでしょ」
「考えすぎなんでしょ」
と言われたように感じてしまうこともあります。
私は、身体と心を分けて考えなくてもいいと思っています。
心理的な緊張も、身体の反応のひとつとして現れる。
そう見る方が自然です。
大切なのは「ひとつずつ」ではなく「重なり」で見ること
子どもの頭痛では、
睡眠不足だけ。
スマホだけ。
学校だけ。
ストレスだけ。
ということより、
いくつかのことが重なっている場合があります。
たとえば、
睡眠不足
+ 長時間のスマホ
+ 部活の疲労
+ 学校での緊張
が重なっている。
あるいは、
テスト期間
+ 食事の乱れ
+ 睡眠不足
+ 人間関係の緊張
ということもあるかもしれません。
その中のどれが「本当の原因」なのか。
ひとつに決めなくてもいいのです。
いくつかの負担が重なって、今の頭痛につながっているのかもしれない。
そう考えると、見えてくるものが変わってきます。
頭痛記録は「原因探し」ではなく「気づくため」
もし頭痛を繰り返しているなら、簡単な記録をつけてみるのもおすすめです。
細かく書かなくても大丈夫です。
たとえば、
- いつ痛くなったか
- どのくらい続いたか
- そのとき何をしていたか
- 前日はよく眠れたか
- 食事や水分はとれていたか
- 学校や部活があったか
- 薬を飲んだか
- 何をしたら少し楽になったか
これくらいでも十分です。
大切なのは、「原因を当てるため」ではなく「パターンに気づくため」ということ。
記録しすぎて、子どもも親も頭痛ばかり気にしてしまうのは避けたいところです。
少し振り返ることで、
「そういえば、寝不足の日に多いかも」
「部活が続いたあとに出ているかも」
「学校のある朝に多いかも」
というように、少しずつその子の傾向が見えてくることがあります。
私が見ているのは「原因」より「その子の今」
ふうが整体院で子どもの頭痛を見るときも、
「どこが痛い?」
だけを聞くわけではありません。
最近よく眠れているかな。
学校はどうかな。
部活はどう?
普段どんな姿勢が多い?
疲れていないかな。
そんなことも聞きます。
身体を見るときも、頭だけではなく、首や肩、呼吸、身体全体の緊張を見ていきます。
それは、
原因を当てたいからではありません。
その子全体を見るためです。
頭痛を見るのではなく、頭痛のある「その子」を見る
子どもの頭痛には、
「これを直せば大丈夫」
というひとつの答えがないことがあります。
だから、原因を急いで決めなくてもいい。
身体はどうかな。
眠れているかな。
学校ではどう過ごしているかな。
最近、少し無理をしていないかな。
そんなふうに、その子の毎日を少し広く見てみる。
頭痛を見るのではなく、
頭痛のある「その子」を見る。
そこから見えてくるものがあるかもしれません。
次回
子どもの頭痛で、まず気をつけたいこと
――病院を受診した方がよいサイン
次回は、整体やセルフケアを考える前に知っておきたい、
「まず医療機関で確認した方がよい頭痛」についてお伝えします。

