【第28回】C2が教えてくれたこと — やさしさが広がる“つながりのケア”へ

目次

頸椎2番という“入り口”から、全身を見渡す視点へ

これまで【第2章】では、C2(第二頚椎)と硬膜・筋・神経の関係を、解剖学や臨床の視点から丁寧に見てきました。
頭痛や不定愁訴の背景にある「構造的な仕組み」を知ることで、多くの方が「身体はつながっている」という感覚に気づき始めたのではないでしょうか。

しかし、知識として理解するだけでは、施術や日々のセルフケアで活かしきれないこともあります。
今回は、その「知識」と「体験」をつなぎ、C2を起点に広がる“つながりのケア”の可能性についてお話しします。

【1】C2の知識は「つなげて」こそ生きる

C2は、硬膜や延髄、後頭下筋群、自律神経、血流などと密接に関わります。
ですが、部位や構造を“知っている”だけでは、クライアントの「今この瞬間」に起きていることを深く読み解くことはできません。

なぜ今、この方に頭痛があるのか。
なぜC2にやさしく触れるだけで呼吸が深くなるのか。

その理由は、解剖学の知識現場での感覚が重なったとき、初めて立体的に見えてきます。

【2】部分ではなく“関係性”として捉える

症状のある場所だけをケアしても変化が出ないことは、臨床の現場でよくあります。
たとえばこめかみの痛みでも、原因が「骨盤の歪み」や「感情的ストレス」、「生活習慣」など、まったく別の領域にあることも珍しくありません。

身体はパーツの集合体ではなく、常に“関係性の中で動いている全体”です。
C2の調整だけでも、

  • 呼吸が深まる
  • 頭の中心が静かになる
  • 肩や骨盤の緊張がゆるむ

といった変化が全身に波及します。
知識を「点」で終わらせず、「線」や「面」として活かすことが、統合的ケアの第一歩です。

【3】支え圧で広がる“つながり”の反応

C2への「支え圧」を行っていると、

  • 呼吸がゆるむ
  • お腹が鳴る(蠕動音)
  • 手足が温かくなる

といった変化が自然に現れます。

これは骨や筋肉だけでなく、

  • 固有感覚を介した神経の再調整
  • 硬膜テンションの解放
  • 安全・安心という神経的合図

が同時に起きている証です。
こうした目に見えない変化を捉えるには、「知識」に加えて「臨床的な感覚」が欠かせません。

【4】変化を生むのは“統合的な意図”

統合的ケアとは、単に複数の手技を組み合わせることではありません。

  • 筋肉も神経もエネルギーも、分け隔てなく“つながり”として見る視点
  • テクニックではなく、相手との“関係性”を大切にする姿勢

この「意図」が深い変化を生みます。

同じC2のタッチでも、

  • 構造的アプローチとして“支えている”だけの手
  • 呼吸やStillness、共鳴を意図した“感じている手”

では、受け手の体験はまったく異なります。

【5】「整う力」を信じることの価値

患者さまが「自分の身体は変われる」と感じたとき、ケアは本質的な意味を持ちます。
施術者が“正しく治す”のではなく、

  • 安心できる場
  • 安定した支え
  • 認識の変化を促す関係性

を通して、本人の中に眠る“整う力”が動き出す。
これこそがC2支え圧をはじめとした共鳴型ケアの真髄です。

第2章の締めくくりに 〜 心と神経の世界へ

第2章では、C2を入り口に「構造としくみ」から身体を見つめ、その奥にある“整う力”を探ってきました。
静かに支えることで起こる変化は、構造だけでは説明しきれない「共鳴」と「感覚」の世界へと続いています。

次章では、いよいよ「心」と「神経」の領域へ。
感情やトラウマ、神経の記憶にそっと寄り添うケアをご紹介します。


▶ 次回 第29回:「なぜ“昔の感情”が今の体に影響するのか?」
神経・記憶・身体の関係を、やさしく読み解いていきます。

ご案内『頭痛専門 ふうが整体院』より

本シリーズでご紹介している「頚椎×硬膜リセット」セラピーは、東京・祐天寺の《頭痛専門 ふうが整体院》で体験いただけます。
慢性的な頭痛や自律神経の不調にお悩みの方へ、「やさしいのに深く整う」施術で心身の調和をサポートしています。

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この記事を書いた人

頭痛専門 ふうが整体院 頭痛セラピスト
Holistic life Labo UPA-LA セラピスト ヒーラー

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