心と神経がつながる時代へ
いま、多くの施術者や医療者の間で注目されているキーワード——
それは「心と神経のつながり」です。
ストレスや感情が身体に影響することは、もはや当たり前の常識になりつつあります。
それでも現場では、
「心療内科では変わらなかった」
「整体では体しか見てくれなかった」
そんな声を多く耳にします。
“心”だけを見ても、“体”だけを見ても、
なかなか根本的な改善にはつながらない——
その理由は、感情と神経と構造が、複雑に絡み合っているからです。
“バラバラの視点”では、整わない
私たちの体と心は、「一つの流れ」でつながっています。
それを切り離して、身体のコリだけを取っても、
あるいは感情やトラウマを心理面だけで解こうとしても、
なぜか“芯からの変化”が起きにくいのです。
「頚椎×硬膜リセット」セラピーでは、
その接点にある C2(頚椎2番)と硬膜、神経系の共鳴に注目してきました。
C2のゆがみが硬膜に影響を与え、
硬膜を通じて脳幹や自律神経、さらには感情的な反応にもつながっていく。
この「構造」「神経」「心」の三者がゆるやかに解きほぐされるとき、
本当に深い整いが生まれてきます。
統合的ケアがもたらす“静かな変化”
この連載でもご紹介してきたように、施術を通じて現れる反応はさまざまです。
– ふと涙があふれる
– 体がビリビリと震える
– 深い夢を見るような感覚
– 呼吸が急に楽になる
– 何年もあった症状が、ふっと軽くなる
これらは、ただの“偶然”ではありません。
C2を通して神経系に「安全」が伝わると、
脳幹や迷走神経を介して“自己調整のスイッチ”が入り、
感情や記憶、筋緊張までもがやさしく変化していきます。
私自身も施術中に、クライアントと共鳴するように
「ビリビリ」とした感覚が伝わってくることが何度もあります。
これは、身体に微弱な電流のような共鳴が生じる迷走電流(ヴェーガル・ウェイブ)の影響ともいわれており、
まさに心と神経が“静かにつながっている”ことの証でもあるのです。
自分で整える時代へ 〜セルフケアの意義〜
そして今、多くの方に必要とされているのは、
「誰かに整えてもらう」だけでなく、
“自分で自分を整える力”です。
施術で変化を感じたとしても、
その整いを支えるのは日常生活の中の姿勢、呼吸、感情の扱い方です。
– スマホ姿勢で首が固まっていないか?
– 呼吸は浅くなっていないか?
– 自分の気持ちにフタをしていないか?
そうした「日常の気づき」が、神経系を育み、心の安定にもつながります。
だからこそ、これからの時代は“心と神経のケアをセルフで行う”ことが大切なのです。
まとめ:心と神経、構造の橋渡し役として
頚椎2番という“小さな骨”から、
神経系、感情、記憶へと波のように広がっていくケア。
その本質は、“つなぐ”ことにあります。
分断された「身体」と「心」の世界を、
神経の働きを通じて統合していく——
それは施術家としての使命であり、
これからの時代のケアにおける大きな柱になるでしょう。
次回予告:【第4章】セルフケアと日常ケア法 へ
これまでは施術を通して“整えていく”ことを中心にお伝えしてきましたが、
次回からは「整った状態をどう保ち、自分で育てていくか」をテーマに、
首まわりをゆるめるセルフケアを丁寧にご紹介します。
第37回:セルフでできる「首まわりゆるめ」ケア
どうぞお楽しみに。