「首の奥をゆるめてもらったら、頭が軽くなった気がする」
施術後、そんな感想をいただくことがあります。
実はこれ、気のせいではありません。
首の奥——特に後頭下筋群(こうとうかきんぐん)と呼ばれる小さな筋肉たちが、頭痛や自律神経の乱れに深く関わっているのです。
後頭下筋群とは?—C2を支える小さな筋肉たち
後頭下筋群とは、頭の付け根にある4つの小さな筋肉の総称です。
- 大後頭直筋(だいこうとうちょっきん)
- 小後頭直筋(しょうこうとうちょっきん)
- 上頭斜筋(じょうとうしゃきん)
- 下頭斜筋(かとうしゃきん)
これらの筋肉は、頭(後頭骨)と首の骨(C1〜C2)をつなぎ、姿勢の微調整や頭の動きをサポートしています。
とくに、C2(第二頚椎)と密接につながる筋が多く、「C2周囲の機能」に大きく関与しています。
筋肉が膜を引っ張る?—myodural bridgeの存在
近年、myodural bridge(ミオデュラル・ブリッジ)という構造が注目されています。
これは、後頭下筋群の一部が、筋膜を介して硬膜(こうまく)とつながっているという連結構造のことです。
つまり、筋肉が過緊張になると、
- 筋膜が緊張し、
- 硬膜を引っ張り、
- 神経系にまで影響が及ぶ
という“力の伝達”が起こると考えられています。
なぜ神経が興奮するのか?—緊張の連鎖反応
硬膜は、脳や脊髄を包み、神経を守る重要な膜です。
しかし同時に、外部からの張力にも敏感です。
後頭下筋群が緊張し、その力が硬膜に伝わると、周囲の後頭神経(大後頭神経・小後頭神経)や交感神経系に刺激が加わる可能性があります。
これにより、
- ズキズキするような後頭部の痛み
- 目の奥の重さ
- 吐き気・めまい・耳鳴り
などの自律神経症状や神経過敏症状へとつながることがあるのです。
だからC2支え圧が効く—筋→膜→神経へのアプローチ
当院の「頚椎×硬膜リセット」では、後頭下筋群を直接ほぐすような手技は行いません。
そのかわり、C2を優しく“支える”ことで、その周囲の筋膜や硬膜の緊張を緩めていきます。
まるで、“糸のもつれ”を中心からほぐすように。
このようなアプローチは、myodural bridgeという構造から見ても、非常に合理的かつ、身体に負担をかけない施術だといえるのです。
まとめと次回予告
後頭下筋群は、小さな存在ながら、C2・硬膜・神経と密接につながる要所です。
その働きを知ることで、なぜ優しい施術でも大きな変化が起きるのかが見えてきます。
次回は、「脳脊髄液と硬膜の流れ」について、さらに深く読み解いていきます。
C2アプローチが体全体にどう影響するのか?お楽しみに。