「また痛くなってしまいました」――それは後退ではありません
「施術で楽になったのに、また痛くなってしまいました」。
そんな声を耳にするたび、私はこうお伝えします。
「戻ったのではなく、“次の段階”に入ったサインかもしれません」
回復は一直線ではありません。
一時的な“戻り”は、むしろ本当の変化が深く進んでいる証であることが多いのです。
体に刻まれた“防御パターン”――慣れた位置に寄る現象
長年の緊張や感情、姿勢の癖は自己防衛パターンとして体に刻まれます。
施術でゆるんでも、無意識に「慣れた状態」へ寄ろうとする力が働きます。
これは「戻った」のではなく、新しい居場所に慣れる途中で一時的に古い位置を確認しているだけ。
繰り返しのケアと自己理解で、体は新しいバランスを学び直していきます。
可塑性(ニューロプラスティシティ)が起こす揺り戻し
神経系は「過去に繰り返した反応」を優先します。
新しい感覚が定着する前に、古いパターンが再浮上するのは自然な現象です。
“戻り幅”はだんだん小さくなる
施術とセルフケアを重ねるほど、戻りの頻度と強さは減少し、新しい神経回路が安定していきます。
東洋医学の視点:瞑眩(めんげん)と虚実交錯
東洋医学では、バランスを取り戻す過程で一時的に症状が出る瞑眩(好転反応)という概念があります。
「悪化」ではなく、深部で変化が進むサインとして肯定的に捉えます。
この時期こそ、自分の体にやさしく寄り添い、休息・呼吸・観察を大切にしましょう。
“戻り”の見方を変える:質の変化に注目する
私は「戻ったかどうか」ではなく、プロセスの質を見ます。たとえば、
- 痛み方が変わった(場所・質・強さ)
- 回復が早くなった
- 睡眠が深くなった/呼吸が楽になった
これらは統合が進んでいるサイン。今は“変わっている最中”なのかもしれません。
まとめ:リバウンド=進化への準備期間
“戻り”は後退ではなく、次の安定に向けた統合作業。
自分の変化を信じ、焦らず見守る姿勢が、本質的な癒しの力を引き出します。
次回予告:第2章スタート
第2章「構造とつながり編」では、C2(頚椎2番)と硬膜の構造・連動を解剖学の視点からやさしく解説。
「なぜ、そっと触れただけで頭痛が変わるのか?」――見えない身体の連動性に迫ります。
ご案内 ― “戻り”の意味を一緒に整えましょう
頚椎×硬膜リセットは、揺らぎを受け入れながら回復を育てるセラピー。
施術と日常ケアで、無理なく「次の安定」へ。